Nanbeige4.3-33Bを解説:512Kコンテキスト対応の公開ウェイトモデル、コーディングと業務エージェントの実力
Nanbeige4.3-33Bの公式ベンチマーク、Qwen3.8-27Bなどとの比較、思考・ツール呼び出し設定、512Kコンテキストのメモリ負担を整理します。
Nanbeige4.3-33Bは、複数ターンで推論し、ツールを呼び出し、成果物を完成させるエージェント業務を重視したモデルです。公式比較では端末操作、コーディング、業務自動化で注目すべき結果を示しています。ただし、すべての項目で首位というわけではなく、一般的なGPUで512Kを簡単に使い切れることも意味しません。
本記事は2026年10月26日時点で確認できる公式モデルカードと設定ファイルに基づきます。スコアは開発元の報告値で、TboxIOの独立実測ではありません。メモリ計算も理論上の見積もりです。
まず教師モデルを強化し、その後小型モデルへ
Nanbeige4.3-33Bはシリーズの旗艦教師モデルです。約30Bクラスでコーディングと専門的な共同作業の能力を高め、その能力を小型モデルに蒸留する方針です。公式は将来のNanbeige4.3-3Bに言及していますが、今回同時に公開済みとは限らず、33Bの成績を将来の3Bに当てはめることもできません。
質問への回答だけでなく、タスクの理解、リポジトリの操作、ツール実行、フィードバックの読み取り、解決策の修正を重視しています。自社運用の開発支援や業務アシスタントを検討するチームにとって、評価候補となります。
| 項目 | 公式情報と解釈 |
|---|---|
| モデル | Nanbeige4.3-33B |
| 規模・構造 | 約33Bパラメータ、LlamaForCausalLMの密モデル構成 |
| 最大コンテキスト | 524,288 tokens、512K |
| 公開ウェイト | BF16 |
| ライセンス | Apache 2.0 |
| 主な用途 | コーディングエージェント、ツール利用、専門的業務 |
| 公式実行例 | Transformers、SGLang、vLLM |
| 思考モード | 標準で有効、チャットテンプレートで変更可能 |
密な33Bモデルは、トークンごとに一部の専門家だけを動かすMoEモデルとは計算コストの捉え方が異なります。512Kは容量の上限であり、すべての長さ・タスク・機器で品質や速度が一定という保証ではありません。
公式スコア:強いエージェント性能にも例外がある
比較対象はQwen3.8-27B、Muse-Glimmer-30B、Gemma4-31Bです。公式によると全モデルを最大の思考強度で評価し、各ベンチマーク内では推論ハイパーパラメータとハーネスを揃えています。以下は代表的な項目の原数値です。
| ベンチマーク | Nanbeige4.3-33B | Qwen3.8-27B | Muse-Glimmer-30B | Gemma4-31B |
|---|---|---|---|---|
| Terminal-Bench 2.1 | 80.9 | 73.0 | 61.8 | 47.2 |
| Terminal-Bench 4.0 | 23.8 | 6.3 | 1.6 | 0.0 |
| DeepSWE | 65.5 | 42.5 | 4.4 | 2.7 |
| SWE-Bench Pro | 60.3 | 61.7 | 36.9 | 51.2 |
| SWE-Atlas-QnA | 50.8 | 41.9 | 17.7 | 3.3 |
| NL2Repo | 53.0 | 48.3 | 27.4 | 33.8 |
| SkillsBench | 61.1 | 56.4 | 39.7 | 28.9 |
| Automation Bench | 54.2 | 38.3 | 15.2 | 9.7 |
| JobBench | 44.8 | 34.5 | 16.6 | 9.0 |
| GDPval | 84.8 | 86.4 | 75.8 | 71.4 |
| Claw-Eval pass^3 | 78.3 | 75.2 | 57.3 | 44.2 |
| Toolathlon-Verified | 70.4 | 68.5 | 47.2 | 27.8 |
| GPQA Diamond | 89.5 | 89.2 | 83.5 | 91.3 |
| AIME 2026 | 95.2 | 94.5 | 94.7 | 89.2 |
| AA-LCR | 84.0 | 82.0 | 83.3 | 72.0 |
- 端末・開発タスクが目立ちます。Qwenとの差はTerminal-Bench 2.1で7.9ポイント、DeepSWEで23.0ポイント。ただしTerminal-Bench 4.0の23.8は、難しいタスクに失敗の余地が大きいことも示します。
- 業務タスクではAutomation Benchで15.9ポイント、JobBenchで10.3ポイント上回ります。指定された評価環境での結果であり、企業の実業務の自動化成功率ではありません。
- Qwenが優位な項目もあります。SWE-Bench Proは60.3対61.7、GDPvalは84.8対86.4で、Nanbeigeが下回っています。
- 一般推論も全面勝利ではありません。GPQA Diamondは89.5でQwenの89.2をわずかに上回る一方、Gemma4-31Bの91.3には届きません。0.3ポイント差を安定した総合優位と捉えるべきではありません。
これは同じ表内の差であり、前世代Nanbeigeからの改善率ではありません。引用したカードには前世代との完全な同条件比較がありません。以前のDeepSeek、MiniMax、Kimi、Raonの記事と比べる際も、基準の版、エージェント構成、推論予算を揃える必要があります。
数字と一緒に読むべき評価条件
結果にはモデルだけでなく、ツール、実行環境、コンテキスト管理、再試行予算も影響します。公式脚注の重要点は次の通りです。
- Nanbeigeは preserve_thinking=true で評価されています。過去ターンの思考を削除する実装では、複数ターンの挙動が変わる可能性があります。
- Terminal-Bench 2.1はTerminus 2、Terminal-Bench 4とDeepSWEはmini-swe-agent v2.4.6を使用します。異なる版のTerminal-Benchを同一ランキングに混ぜないでください。
- SWE-Atlas-QnAはmini-swe-agent v2.4.6を使い、GPT-6 Solのmedium reasoning effortで1,304のタスク固有ルーブリックに基づき採点します。NL2RepoはClaude Code、JobBenchは検索ツール付きClaude Codeハーネスです。
- Automation Bench v1.0.6は公開600タスク。Claw-Evalは単一ターン157タスクのGeneralサブセットのみで、指標はpass^3です。この限定を省略できません。
- GDPvalは修正版ルーブリックのスコアであり、84.8はEloではありません。Toolathlon-Verifiedには単一リクエストのmax_tokens制限がないため、コスト比較には実消費トークンも必要です。
YC-benchでは1,025,437米ドルと報告されています。これはベンチマーク内のドル建て結果で、API料金、実際の売上、利用者の収益保証ではありません。百分率型のスコアと混ぜて平均する数値でもありません。
思考とツール利用:2つの設定を区別する
enable_thinkingは現在の回答で推論を生成するかを制御し、標準で有効です。Falseにすると非思考モードになります。preserve_thinkingは過去のアシスタントの思考を保持するかを制御します。公式は一般チャット・質疑応答ではFalse、複数ターンのツール利用、業務、コードエージェントではTrueを推奨しています。
ツール形式はtool_call_format="xml"が推奨で、互換性のためjsonも利用可能です。テンプレート、ツールパーサー、過去の思考の保存方法を整合させる必要があります。モデル名だけの差し替えでは公式条件を再現できません。
| 用途 | Temperature | Top_p | 推奨Max New Tokens |
|---|---|---|---|
| エージェント・ツール利用 | 1.0 | 0.95 | 65,536 |
| 推論・チャット | 0.6 | 0.95 | 262,144 |
Max New Tokensは出力予算、512Kはコンテキストの上限です。入力、過去の思考、ツール結果、新しい出力の全体がサーバー設定の制限内に収まる必要があります。大きな上限が毎回その長さの生成を意味するわけではありません。
導入:BF16ウェイト約66GBにキャッシュが加わる
公式ファイル一覧の合計は約66.3GBで、BF16 Safetensorsウェイトが公開されています。33Bに1パラメータ2バイトを掛けると、ウェイトだけで十進単位の約66GBです。KVキャッシュ、実行バッファ、フレームワークの負荷は別に必要です。リポジトリ容量と実行時VRAM総量は同じではありません。
公式設定は52層、KVヘッド8、head_dim 128です。単純なBF16 KVキャッシュで1系列の524,288トークンを満たすと、KとVを合わせて約 104GiB と見積もれます。これは設定からの理論計算であり、公式ハードウェア実測ではありません。精度、並列分割、オフロード、実行方式によって実占有量は変わります。
512K対応は、一般的な1枚のGPUでフルコンテキストを容易に扱えることを意味しません。量子化はウェイト負荷を下げられますが、変換品質、互換性、長文での性能を確認する必要があります。TboxIOは量子化版、Mac、消費者向けGPUの生成速度を実測していません。
SGLangとvLLMの公式例は4-way tensor parallelism、qwen3 reasoning parser、qwen3_coder tool-call parserを使います。これは例であり、すべての導入に必要な最小GPU枚数ではありません。入力長、同時実行数、最初のトークンまでの遅延、出力速度を測って容量を決めましょう。
どんな用途で評価するべきか
自社運用の開発エージェント、ツール付き業務フロー、小型モデルへの蒸留研究には検討する理由があります。Apache 2.0は明確な利用基盤となりますが、配布時は対応する条件に従う必要があります。
日常チャット、低遅延、小容量VRAMが中心なら密33Bの負荷を慎重に見積もるべきです。モデルカードには商用予算に直結する公式API単価や統一スループット試験はありません。公開ウェイトでもGPU、ストレージ、保守コストは発生します。
自分たちのリポジトリと業務タスクで小規模評価を行い、完了率、ツールエラー、消費トークン、遅延、人手の修正回数を記録してください。ファイル更新や業務システム操作を行うツールは、まず隔離したテスト環境で評価できます。
TboxIOの評価:魅力は、強い開発・業務エージェント能力を自社運用可能な33Bモデルで試せる点です。公式結果は評価候補に入れる根拠になりますが、全タスク最強や必ず低コストという結論にはなりません。
出典
情報源
公式発表、第三者のテスト、当サイトの実測を区別して表示します。
- 公式発表Nanbeige公式モデルカード
- 公式発表公式アーキテクチャ設定
- 公式発表公式モデルファイル一覧